メモリアル・デイの連休を利用してUP ( Upper Peninsula) に出かけることにした。
E. Hemingway の 短編 Big Two-hearted River の 軌跡を追いかける旅だ。
小説の中に出てくる漠然とした地名や行動・情景描写を基に,主人公のNickがたどったと思われる場所を継ないだけの思いつきの旅・・・・

この橋を渡ると、いよいよUPだ。

右手に LAKE HURON

左手は LAKE MICHIGAN だ。
UPの湖岸線が見える。

小説の中から読み取れる Nick の 最初の足取りはここ、 St. Ignace

UPに渡ると、そこは既に St. Ignace 。


美しい港街で ネイティブ・アメリカン
の ミュージアムなども或る。


アイヌを思わせるインディアンの暮らし


LAKE HURONに面した湖岸。 きれいな水だ。



St. Ignace の ダウン・タウン

港町らしい、レストラン

公共のハーバー

僅かに・鉄道の駅があったことを思わせる風景はここだけ。
客車を利用したレストラン・・・駅の名残を告げるものかどうかは怪しい。
小説の中では、Part T の途中に たった一度だけ出てくるこの地名。 St. Ignace;)
物語は、Seney に降り立ったところから始まっているが、この旅の始まりは、St. Ignace 。
Nickは St. Ignace 駅のレストランでコーヒーとハム・サンドイッチを食べた後、鉄道で Seney へ向かっている。 僕も、駅があれば、もしくはそれに類したレストランがあれば、コーヒーとハム・サンドを食べてからSeney に向かおうと思っていた。
ところが、駅はおろか線路すら見あたらない。 St. Ignace 街で、そのささやかな希望を満たすのには、いささか時間が足りなかった。
線路跡を散歩道にしたにしたような公園のトレイルを地図で見つけたが・・・もはや面倒が先にたって気がつくと St. Ignace をあとに湖岸の国道に向かっていた。

鉄道をフォローするのであれば、 State 28 をたどるべきだが、あえて、US・2を使って湖岸の道を西に向かった。 小説の中に出てくる、Black
River に寄るためだ。
Michigan には Black River
と言う川がいくつもあって、実際のところ、どの川を指しているのか?わからない。 この付近の川・そして鱒を釣っていること・・ということから、勝手に、2号線沿いにある Black
River に決め付けた。

白い砂のデューンが続く US・2


Lake Michigan の 北湖岸

水も冷たく、きれいだ。

この街道沿いで、ちょくちょく見かけるこの手の看板。
PASTIES・・・なんだろう・・

店に飛び込んで ”PASTIESってなに?”
って聞くと・・愛想のいい店の親父・ニコニコしながら、
”これを見ろ” ・とさ。
WHAT IS PASTIE ・・・ 読んでも・いまいちイメージが沸かない。
道々・頬張りながら・先を急ぐかぁ・・と思い GO OUT で オーダーしたものの・・運転しながらは・・なんとも・食べにくそうだ。

これが、Pastie

サックっと 切ると 中からポテトや玉ねぎ・肉などの惣菜系の具が出てくる。
これ・・結構・旨い!! この地方の独特の食べ物。
アメリカに来て土地の食べ物に巡り合ったのはこれが初めて。 ちょっと・感動!!
たいてい・どこに・行っても 代わり映えのしない ハンバーガーとホットドッグ がアメリカの常だ。


Black River
奥に見えるのは LAKE MICHIGAN

ぽつ・ぽつ とライズがある・・いい川だ。

橋から上流側を見る。

左岸をすこし遡行してみる

鉄分が多いのか? 川の水は茶色い。
にごった感じではなく・・・そう・紅茶の様だ。
遠めに黒く見えたりもする。 これが 黒川の所以か?


ガスが心細くなってきたので、
街道沿いの食料雑貨でガソリンとビール・氷を調達する。
店の入り口前に ぽつねんとガゾリン・ポンプがある。
片方のポンプは動かなかった。

なんとも・ド田舎感のただようモールだ。 渋い。

ここを逃すと多分次は SENEY までは店はないだろう。
Ann Arbor 周辺とは違って油断できない。

77を北上・・いよいよ Nick旅の出発点・・
SENEY へ向かう。 野生動物保護区の森が見えてくる。

SENEY の 街へ入ったところ
右が鉄道線路 左が線路に沿った東へ向かう道
駅は見当たらない・・・
でも・きっと、Nickは この道をたどったに違いない。

Fox River

痛みがひどい橋の欄干 奥に見えるのは鉄橋

Nick は こうして橋の上から川面を見たのだろうか?

川面に映る陽

ここの水も茶色く、そして、透き通っている。

It swirled against the log spiles of the bridge.
橋の丸太の杭に水がぶつかって渦を巻いてる・・・
こんな・シーンだろうか? もう・木の橋は無く
丸太の杭もこれ一本だけ。
Nick は、ここで しばらく 鱒を観察しているが・・・
鱒の姿は見ることは出来なかった。

SENEY NAT'L WILDLIFE REFUGE の 森には、
狼や、熊・・夜にはコヨーテの遠吠えが聞こえるらしい

Nickの時代も 今も ここは田舎だ


橋の上であった青年 JOB.
彼は、これから、FOX RIVER で FF をするところ。 いそいそと、ロッドにラインを通していた。 SENEY の駅ってどこにあるのか?知ってる?って聞くと 大学に通う
ために、ここに来ていて、この町のことは未だ良く知らない、と言う。 近くの大学に通ってるって言いながら、川の上流の方を指していたが・・・・ この ど田舎に大学があるのかぁ・
・・?・・ ぽつぽつと人家と商店があるものの、とても大学があるとは思えないほどの小さな町だ。
”小説に出てくる処をトレースしながら、TWO-HEARTED RIVER に向かうんだ。” って言ったら、 ”それは面白そーだねぇ〜” って さわやかな青年だ。

踏切から東を見たところ・・・
左手の道これが小説の中に出てくる線路と平行している路。 Nick は きっと この路を東へ進み、やがて進路を北へとる。 そして、遥かな 山脈を越えて BIG TWO-HEARTED RIVER の上流部でキャンプをするのだ。 SENEY に降り立ったのが、何時なのか?? わからないが、かなりの距離がある。 はたして、その日のうちに、TWO-HEARTED RIVER の上流部にたどり着くことが出来るのか??
季節を推定すると・・暑い日だった・バッタがいる・バッタで鱒が釣れる・蚊がいる・・・これらを総合すると・・北の国であるこの地において、”夏・・である” と言うことが出来るであろう。 夏であれば、
緯度が高いので、午後10時ぐらいまで明るい。Seney から TWO-HEARTED RIVER の上流部まで、直線距離で・・ざっくり・・20Miles・・・約・32km・・たっぷり8時間。 直線というのも大雑把過ぎるので、20%増しで 10時間コースと言ったところか? 正午にSeneyを出ても、何とか日暮れまでには、たどり着ける計算だ。 ・・・なるほど・・それほど現実離れした話ではなさそうだ。

SENEYの駅を見つけた。

既に・博物館になっていた。

今日は・・お休み・・中には入れなかった。

近所を歩いていた人に尋ねてみた。
やはり・昔の駅舎だという。

Nick も・このホームに立ったのだろうか?


うっかりすると見落としてしまう・駅舎
SENEY をあとに 目的の川に向かう。





車で走ってもかなり距離がある・・・

途中の川

対向車の過ぎ去った跡
砂埃の舞う 未舗装の道路。

サイド・ミラーに映る Desert Tan・・ 空に融けていく

松の森と遥か彼方に Superior ・・・・
小説の中では Hemingway らしい淡々とした調子で 情景描写されている。

High Bridge からみる Two-Hearted River

これかぁ・・ Two-Hearted River

しみじみ 見入る Two-Hearted River

West Branch (西俣) いくつものライズを見つけた。

今日の夕餉
キャンベルのポーク&ビーンズとスパゲッティの缶詰
沢で採った蕨(わらび)は茹でて塩をふって・お土産だ。

Nick は この料理?を実に旨そうに喰う。
出来るだけ小説に忠実に再現するつもりだったが、ケチャップは入れなかった。
焚き火で温められなかったのも、少し残念。
小さいころ、僕はアヲハタのポーク&ビーンズが好きだった。
温めもせずに、缶詰から直接スプーンで食べるのがいい。
アメリカのどこかの映画みたいに、キャンプサイトで、缶詰めを抱えて、まずそーに食べるのがいいんだ。
アヲハタのポーク&ビーンズには必ず豚の肉片が一つだけ入っていて、それが出てくるのが楽しみだった。
運がいいと二つ入っていることもあった。
だが、今日のキャンベルには肉片は入っていない。味も妙に甘い・・・・
予想していなかったわけではないが・・・はっきり言って・・・
・・・・まずい・・・
小説では、アプリコットの缶詰をデザートにコーヒーを沸かしながら食べている。 最初にシロップを飲み干して・・・・うっ・想像しただけでも・まずそ。 アプリコットの缶詰はやめておいてよかった。
翌朝・ Nick はそば粉でパンケーキを作って朝飯にしている。
3枚焼いて、りんごジャムを塗って食べている。そのうちの一枚はランチ用に油紙包んで胸ポケットへ。 さらにパンをきって玉ねぎのサンドイッチをランチ用に作っている。
そば粉パンケーキとりんごジャムは、きっと食べきれないだろうと思って用意しなかった。 (正解!!)
玉ねぎのサンドイッチには興味があったが、やっぱり寂しいので、ベーコンと玉子焼きも挟んで、ランチ用にパックした。

ここは、418のどん詰まり・ここから先は車では行けない
418 号線(林道)を西へ West Branch の上流を目指す。
林道は、穏やかな、或いは、かなり急なアップダウンを繰り返して小さな尾根をいくつも越えながら、川に沿って西に延びる。
路は、黄褐色の砂塵に覆われ、時折、ふかふかのデューンのようになる。 4X4のぎりぎりのトラクション。結構なヒルクライム・トライアルになる。

West Branch の 上流部
周辺には大小の池糠が点在する。

川幅は狭く 土と砂のすり鉢上の底になっている。

水は茶色く、やはり透明感がある

この辺は, 池糖も多く、 松の森・・・
Nickがキャンプしたところは・・きっとこの付近だ。
土手を降りて水を汲みに行くシーンもイメージが沸く。

蕨(わらび)

しかし、どこも・どんよりとしていて・・
今ひとつ・想像していた川とイメージが合わない。
この小説 を 読んだとき・・みんなそれぞれ
ふるさとの川を思い起こすんだろうなぁ・・・・


夕べは盛んにライズしていたこの場所も今日は静か

転々と川(沢?)の様子を探っていく

比較的 川幅が広く 流れがある 川底も砂利だ。

小さなレインボウが釣れた

落ち込みもありいい感じだ



可愛らしく・美しいレインボウ


ここは、かつては橋だった様だ。

崩れたログと鉄の杭

ブルック・トラウト
Nick stood up on the log, holding his rod, the landing net hanging
heavy, then stepped into water and splashed ashore. He climbed the
bank and cut up into the woods, toward the high ground. He
was going back to camp. He looked back. The river just showed
through the trees. There were plenty of days coming when he could
fish the swamp.
この小説パートUの最後の一説・・・ここで、この話は了っている。
彼はこの地に留まり、何日もキャンプと魚釣りを楽しんだに違いない。
これで、僕の Big Two-hearted River の 軌跡を追いかける旅 も 了った。 (May 2006)