You'd be so nice で行こう!湯桧曽雪渓突入隊の巻

谷川連峰湯桧曽川本谷遡行紀(記録者 にゃんちゅうさん)

[山行日] 2001年7月7日〜8日

[参加メンバー] ケマ兄  にゃんちゅうさん  えみさん  にん2

[天候] 2日間とも 晴れ  時々  曇り

” you'd be so nice to come home to 〜”にゃんちゅう
                                            2001/07/02 (月)19:35

湯桧曽ナイス(you'd be so nice )の週に突入ですね。(ハハハ)
 
の掲示板をイメージして、HELEN MERRILLの”You'd be so nice to come home to ”をかけながら夜の関越を谷川岳に向けて飛ばす。

明日は七夕だ。

気象庁の予想天気図を7/8の分まで数枚プリントアウトした。高気圧が梅雨前線を押しのけて、谷川岳を通過する模様。これが本当なら終始晴天に恵まれるはずだ。なのに、天気予報では、今ひとつかんばしくない。天気図の読みが甘いのか? 希望的観測か?

2001年7月7日

新道の車止めで支度する僕らの頭上は一片の雲もなく,爽やかな青空が広がっている。幸運の女神が微笑んだか? はたまた、奈落の罠か?嵐を呼ぶ男.”ケマ兄”と恐怖の雨男”にゃンちゅう”(僕)の相乗効果か?マイナス×マイナスはプラスである。(にん2談)

新道を踏み間違えつつも無事、武能沢出会いに降り立ち、魚止ノ滝前に出る。(アプローチはいつの時もママならない)

魚止ノ滝は左から.ワン・ムーブが難しい。ザックが重く今ひとつ上がらない。ザックを上の棚に置き、空身で登る。ケマ兄はフリーで、後はお助けロープでクリア。EMI様は、僕のザックを踏み台に次の棚へ上がっていった。流石だ。

魚止め滝上のゴルジュ。う〜ん、どうしようか。右岸に巻き道がある。

快適な沢歩き。水が綺麗だ。空も青い。水温もさほど低くない。懸念した雪渓は・・・。白樺沢辺りで見事な雪渓。正面を見る限るり、充分乗れる厚さだ。偵察がてらラントクルフトの中を僕が登る。中ほどもOKだ。後は雪上を行く。

白樺沢を分けてしばらく行くと現れる大きな雪渓。上を越える。

赤渕で一旦雪渓が切れるが、正面は雪の詰まった沢が空まで続いている。ここは、沢が綺麗にコノ字に曲がるポイント。行く手の沢の様子はわからない。さて、どうしたものかと悩んだが、十字峡までは様子をみることにした。ケマ兄が右側から雪渓直前のハイボルダ-を登り、その上の雪渓を行く。なんだか、ハイボルダ-が難しそうだ。僕は、にん2のショルダーで上に。後は、お助けロープ3段つなぎでゴボー・クリア。

赤淵に蓋をするスノーブリッジ。右のつるつる壁を登り上を歩く。

赤淵からつながる大雪渓。中央の黒い点はケマ兄。ここから本谷は左へ直角に曲がる。

予想に反し、十字峡は全開。雪渓無し。と思いきや、赤滝前で思いっきり雪渓。高い。大きい。暗い。冷たい。ぱっくり開いたトンネルの中ほどには、小さな滝。さらに奥、切れ込んだ隙間に見える出口付近には、ズタズタに崩れた雪渓が、のどかな七夕の午前の光に輝いている。崩れた雪の塊が足元を流れる。行くとすれば、中をくぐるか?

30mナメ滝を右から登ると正面に泡返り沢。ハイライトの十字峡だ。もっと広々した場所を想像していたが、思いの外狭い感じ。

十字峡で本谷は更に左に直角に曲がる。すると・・・やっぱり出ました、上に登れないブリッジ。中央に亀裂が入っていてちょっとヤバイ。ひとりづつ順番に素早く潜り抜ける。

ケマ兄が行く。いきなり、けつまずき、雪の塊といっしょに沢を泳ぐ。雪渓の中で右岸に取り付き、へつってる。悪そうだ。スリップをリカバリーしながら、バタバタと中ほどの滝をクリア。”いやだな。あそこ。”心の中でつぶやく。後に聞くケマ兄談、「入り口で泳いで気合が入った」そうだ。

奥に崩れた雪塊が積み重なり、先の様子の解らない雪渓に潜りこむ。普通は巻くか敗退を考えるところ・・・何より達成感を重んじる現役クライマーのケマ兄は、そんなことに負けはしないのだった。トホホ。

出口のズタズタ雪渓をケマ兄が行く。崩したスノーブロックが流れてくる。けっぽると重く硬い。これの下敷きになるのはいやだ。

ケマ兄が見えなくなって暫し待つ。GOのサインが来ない。暫し待つ。何もない。さらに暫し待つ。やはりサインはない。

EMIは寒くて震えている。この先も、雪渓に悩まされるはずだ。僕が、様子を見に行くことにした。にん2が、ケマ兄を連れ戻してきてくれと言う。
戻ってくる気でザックを置いた。空身で雪渓に突っ込む。ノースリーブ一枚の雪渓トライはやはり寒い。水も冷たいが、決して悲鳴をあげてはならぬ。非常な世界。でもなんとなく楽しい。空身なので、なんのことはない。軽く滝をクリア。背中に、雪渓から滴り落ちる簾水が背中にあたる。冷たい。

ズタズタブロックをバイルと素手で登る。手の感覚が無くなるようだ。最初のブロックの上に立つ。太陽の光がありがたい。暖かさが、肌に染みてくる。ぱっくり開いたブロック・クレヴァスの下は滝だろうか?慎重にまたぎ、さらにブロックを登る。

ケマ兄がいた。「上は大丈夫だ行こう!」意思は石の如し。果たして連れ戻せるか?確かに前方はクリア。先のコーナーまで偵察に行くことにした。コーナーを抜けると大そうな滝。赤滝20mだ。右岸草つきとのコンタクトラインが登れそうだ。その上は、分からない。雪渓はあるのだろうが、空は青く、滝は水しぶきをキラキラと美しくまき散らせながら、堂々と・・・そして、そびえたっている。もう帰れない。

キャプテン・ケマ兄は、戻って仲間を連れて来いと言う。あそこを戻るのは吝かではないが、またザックを背負って戻って来なくてはならない。

「いやだ・・・。」

「じゃんけんで負けた方が行くことにしよう!」

「僕には無理だ。ケマ兄行ってくれ!」

あらゆる交渉をしたが、ケマ兄はウルトラマンのように輝く太陽を仰いでいる。何も言わない。60年代に乗り切れなかったAB型は、強い。気の弱い僕は仕方なしに、ズタズタ君をクライムダウンし、あの暗く、冷た〜い雪渓の中に戻っていった。

楽なルート探しつつ雪渓のプールを泳ぎ下った。思ったよりも暖かく感じた。雪渓入り口の石の上に乗り立った時のすがすがしさ。全く寒さを感じなかった。人間って強い。スタローンのクリフハンガーもまんざらウソではない。

にん2が雪渓に入る。滝前のへつりで足をはずし、手だけでぶら下がっている。張り出した雪の天井が、ザックが、へつりを極端に難しくしている。融解した雪の流れる冷たい岩。感覚を失った指先はにん2を壁から剥がそうとする。助けに行くが僕も自由に動けない。にん2の手の上に僕の手を重ねて押さえつけるが、何の役も立たない。ただ見守るしかない。もう、落ちるのは時間の問題だ。にん2はバイルを取り出すや、片手でぶら下がり、岩のわずかなクラックにピックを打ち込もうとしている。暗い雪渓の中に火花が散る。何度も火花を散らし、ピックを打ち込むにん2。刺され! もう限界だ!

ピックを打ち込むにん2の腕が止まった。ピックが決まった。慎重にトラヴァースするにん2。危機一髪をクリアー。

僕が行く。雪渓の天井とザックが邪魔で、なんとも微妙。クリアー。

それを見ていたEMI。もういけない。先の残置スリングを延長し、僕が下からバックアップ(ボトムアップか?)何とかクリアー。

なんと、危ない雪渓の中に3人もぐちゃぐちゃと・・・・ ああ、恐ろしや。

ケマ兄のビレイするズタズタブロック。”後から見るといつ落ちてもおかしくない状態だった” にん2談。くわばら、くわばら。

お〜い。そこは滅茶苦茶ヤバイところでないの〜!と、注意を促したいところだが、その声で崩れるかもしれないので、ただ見守るだけで精一杯。「早くしてくれ〜。心臓に悪過ぎ」

赤滝を右岸から小さく巻き、きれいになめ床をしばらく行くとまたまた雪渓。今度は慎重に上を歩くと10mほどの滝の前でぽっかり抜け落ちている。側壁に乗り移り滝上のゴルジュ共々巻いて沢床に懸垂。降りたところは七つ小屋沢との二俣だった。

赤滝20mを左から巻き上がると、美しいナメ床が広がる。ずっとこのままだと良いのにね。

が、しか〜し、しばらく行くとまた雪渓。細い雪橋を、ひとりづつそ〜っと渡る。

しばらくはこんな大雪渓状態。これはこれで歩くのが楽だ。

3条10m滝は取り付けず左を巻く。懸垂で降りたところは七つ小屋沢出合いだった。本谷は右からナメ滝で流れ込む。注意していないとまず間違える。

七つ小屋沢を横目に先へ進む。七つ小屋沢の25×40mナメ滝が立派で綺麗だ。

またもや雪渓。滝で一旦切れ落ち、さらに続いている。ここは一本目の送電線の下。本来なら幕営適地。快適なテントサイトは雪渓の下らしい。目前の10m滝は核心の10m、40m滝を擁する浅いゴルジュの入り口か? その上の雪渓はさらに手強そうだ。これを登ってしまうと、待っているのはずたずたの雪渓と列なる滝。しばらく幕営適地は望めない。時間も押している。

エスケープを決めた10m滝。写真ではスケール感が無いが、こちら側の雪の丘は滝より高い。午後3時半。

明日は、七つ小屋沢を上がり、登山道へエスケープと決めた。

七つ小屋沢の関門25m滝。傾斜が緩く、長さ40mというところか?左のコンタクトラインが階段状で途中までは楽に登れるが、そこから上はツルツルの岩盤を木の枝を掴んでのA0トラバース。腕力がものを言う。

少し、戻り、七つ小屋沢の25m滝上を暫し行ったところの左岸にタープを張る。

うるいとソーセージのニンニク炒めで、ビール。
チーズとかつぶし・ねぎ醤油薬味和えで、ビール。
うるいとソーセージとチーズのニンニク炒めで、ビール。
激辛30倍カレーと日本酒。
激辛30倍カレーと水。
激辛30倍カレーとバーボン。
バーボンとにん2の歌。
バーボンとケマ兄の歌。
煌煌と,燃える焚き火の脇で寝るEMI。
いつまでも続く遠吠えにも似たケマ兄の歌。
七夕の夜空に吸い込まれていくにん2のナツメロ。
真夏の出来事
七色の湖
キューポラのある町
からたちの道
中央線・・・・

2001年7月8日

快適な朝。
カリカリベーコン、薄切りハムステーキ、サニーサイド・アップ,味噌汁、飯、うるいの御浸し。コーヒー。

湯桧曽の朝は早い(うそ)。今日も快晴だ。予想天気図からの読みが当たった。

温泉・ビール・蕎麦・地酒 フッフッふっふ・・・・。

およそ、一時間程で、登山道に出る。快適なエスケープルートだ。

登山道を横切る沢も雪渓で覆われている。これは白樺沢の支流。

途中6人パーティーのチャリンコ乗り(失礼!マウンテンバイカー)に合う。登山道とはいえ結構ヤバイとこもある。既に昼を回っているし、先はまだまだ長い。

「この先結構大変ですよ。」

「大丈夫ですよ。行ったことありますから。」

”アンタは行ったことあるかもしれないけど、他の連中は初めてなんじゃないの?”ろくな装備も持たず、見るからに安っぽい(失礼)チャリンコを引きずる後続を見てそう言いたかったがやめておいた。六日町に抜けると言っていたが・・・・果たしてどうなったか。

暑く長い登山道も漸く終盤。武能沢で水浴びをする。どっぷりと沢につかり、びちょっびちょっ。でも気持ちいい〜。

車止めに着くと、後はいつもの・・・。
温泉・ビール・蕎麦・地酒 フッフッふっふ・・・・。

”またいつの日かの完全遡行”を誓って、何の未練もなく車は次の沢へと向かうのであった。

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